コラム
子供の歯並びは「顎が小さい」と悪くなる?原因・放置リスク・顎を広げる矯正を解説

「歯科検診で顎が小さいと指摘されたけれど、放っておいて大丈夫なのか」。「乳歯のうちから歯が重なっていて、永久歯はきれいに並ぶのか」。「顎が小さいのは遺伝だから、もう変えられないのではないか」。お子さまの歯並びについて、こうした不安を抱える保護者の方は少なくありません。

実は「顎が小さい」という状態の多くは、顎の骨が生まれつき小さいわけではありません。上あごの発育が十分に進まず、歯の並ぶスペースが足りていない状態を指すことが多いのです。

そしてこの状態は、「遺伝だから仕方ない」と諦めるものではありません。「永久歯が生えそろえば自然に広がる」と様子を見てよいものでもありません。むしろ、上あごが成長する今だからこそ、顎の成長を正しい方向へ導ける時期といえます。

放っておくと、歯並びの乱れだけでなく、口呼吸やいびき、将来の抜歯や外科的な治療につながることもあります。この記事では、子供の顎が小さくなる原因、放置した場合のリスク、顎を広げてスペースを作る矯正、家庭でできることとその限界、始める時期や費用の目安まで解説します。滋賀県高島市の「たむら歯科・こども矯正歯科」院長 田村光正が、日々の診療と臨床経験をもとにお伝えします。

目次

そもそも「子供の顎が小さい」とはどういう状態か

そもそも「子供の顎が小さい」とはどういう状態か

「顎が小さい」と歯科で言われても、具体的にどういう状態なのかは分かりにくいものです。多くの場合、顎の骨そのものが生まれつき小さいというより、上あごが横方向に十分広がらず、歯の並ぶスペースが足りていない状態を指します。

ここでは、「顎が小さい」の正体、歯と顎の大きさのバランス、そして家庭で気づけるサインについて順に見ていきます。まずは状態を正しく知ることが、これから何をすべきかを考える出発点になります。

「顎が小さい」の正体は上あごの発育不足であることが多い

「顎が小さい」と聞くと、顎の大きさが生まれつき決まっていて変えられない、と受け取る方が多いかもしれません。しかし実際には、上あごが本来広がるべき方向へ十分に成長していないケースが多く見られます。つまり「大きさが足りない」のではなく、「育ち方が十分でない」状態です。

この違いは、これからの対応を考えるうえで大切な点になります。育ち方の問題であれば、上あごが成長する時期に働きかけることで、スペースを広げられる可能性があるからです。

実際にどの程度の発育不足があるかは、見た目だけでは分かりません。頭部エックス線規格写真(セファロ)やCTなど、骨格を立体的に評価する検査によって、はじめて把握できます。

歯が大きい・顎が小さいと歯並びが乱れる仕組み

「歯が大きい 顎が小さい」と検索する方も多く、これは歯と顎の大きさのバランスの問題を表しています。

永久歯は乳歯よりも一回り大きく、生えそろうには相応のスペースが必要です。上あごの広がりがこの大きさに追いつかないと、歯が並びきれずに前後へずれて生えてきます。

これが、いわゆる叢生(そうせい)と呼ばれるガタガタの歯並びです。乳歯の段階では気にならなくても、永久歯へと生え変わるにつれてスペース不足が表面化することがあります。「乳歯のときはきれいだったのに」と感じる背景には、こうした歯と顎のバランスの変化が関係しています。

家庭で気づける「顎が小さいかも」のサイン

歯科での診断が前提になりますが、家庭でも「顎が小さいかもしれない」と気づけるサインがあります。「そういえば、うちの子もそうかもしれない」と思い当たる点がないか、次の項目を確認してみてください。

あくまで受診のきっかけとしての目安であり、当てはまるからといって過度に心配する必要はありません。気になる点があれば、一度歯科で相談してみることが安心につながります。

前歯が重なって生えてきている・乳歯の歯間にすき間がない

乳歯の時期は、永久歯が生えるスペースを確保するために、歯と歯の間にすき間があるのが望ましい状態です。このすき間は発育空隙(はついくくうげき)と呼ばれます。乳歯がぴったり並んですき間がない場合、永久歯の生えるスペースが不足しているサインになることがあります。

すでに前歯が重なって生えてきている場合も、スペースが足りていない可能性があります。「乳歯なのに歯が詰まっている」と感じたら、注意して見てあげてください。

口がいつも開いている・口呼吸をしている

テレビを見ているときや集中しているとき、お子さまの口が開いていないか見てみてください。いつも口が開いている、いわゆる「お口ぽかん」は、口呼吸のサインであることがあります。

口呼吸は、顎の成長や歯並びと深く関わっています。舌が本来あるべき位置から離れてしまい、上あごが内側から広がりにくくなるためです。この点については、後の原因とリスクの項目でくわしく説明します。

子供の顎が小さくなる原因は遺伝だけではない?

子供の顎が小さくなる原因は遺伝だけではない?

「顎が小さいのは遺伝だから仕方ない」

そう考えて、対応をためらう保護者の方は少なくありません。確かに、顎や歯の大きさには遺伝の影響があります。しかし、原因は遺伝だけではありません。

口呼吸や舌の位置、噛む回数の少ない食生活、日常の癖といった後天的な要因も、顎の育ち方に大きく関わります。

ここでは、遺伝的な要素と、生活の中で影響する要因を順に見ていきます。後天的な要因が関わるからこそ、環境や成長への働きかけで改善が見込める、という点が大切です。

遺伝的な要素(骨格・歯の大きさ)

顎の骨格や歯の大きさは、体つきや顔立ちと同じように、ある程度は遺伝の影響を受けます。両親のどちらかが歯並びで悩んだ経験があると、お子さまにも似た傾向が現れることがあります。ただし、遺伝だけで歯並びが決まるわけではありません。

近年は、不正咬合(歯並びや噛み合わせの乱れ)のあるお子さまの割合が、以前より増えていると報告されています。短い年月での変化は、遺伝だけでは説明がつきにくいものです。遺伝という土台の上に、生活の中の要因が重なって歯並びに影響していると考えるのが自然です。

口呼吸・お口ぽかんによる影響

口で呼吸をしていると、舌は上あごから離れ、下がった位置に留まりやすくなります。本来、舌は上あごの内側に軽く触れていて、内側から上あごを押し広げる役割を担っています。口呼吸が続くと、この力が働きにくくなり、上あごが横に広がりにくくなります。

当院の院長は、自身も口呼吸や鼻づまりに悩んだ経験があり、呼吸を整えることの大切さを、医師としてだけでなく当事者としても理解しています。だからこそ、歯並びを診るときにも呼吸の状態を大切にしています。お口ぽかんと歯並び・呼吸の関係については、こちらの記事でくわしく説明しています。

>>子どもの「お口ぽかん」と歯並び・呼吸の関係について詳しくはこちら

舌の位置(低位舌)と飲み込み方の癖

舌が上あごではなく下の歯の裏側あたりに下がっている状態を、低位舌(ていいぜつ)といいます。低位舌では、上あごを内側から支える力が弱くなり、成長の妨げになることがあります。また、飲み込むときに舌で前歯を押す癖があると、歯並びや噛み合わせに影響することもあります。こうした舌や口周りの筋肉の使い方は、トレーニングによって整えていくことができます。

当院では、口腔筋機能療法(MFT)という、舌や唇の筋肉を鍛える方法も取り入れています。舌の位置と歯並び・顔の成長の関係については、こちらの記事も参考になります。

>>歯並び・顔の成長と舌の位置の関係について詳しくはこちら

やわらかい食事・よく噛まない食生活

やわらかい食べ物が中心で、噛む回数が少ない食生活も、顎の発育に影響すると考えられています。よく噛むことは、顎や口周りの筋肉に適度な刺激を与えます。歯ごたえのある食材を取り入れることは、日常の中でできる工夫のひとつです。

ただし、「よく噛めば顎が十分に広がる」とまでは言い切れません。すでにスペース不足が進んでいる場合、食生活の工夫だけで骨格的な問題が解消するわけではないためです。家庭でできることと、専門的な治療が必要な場面の違いについては、後であらためて説明します。

指しゃぶり・頬杖・姿勢などの生活習慣

長く続く指しゃぶりや、頬杖をつく癖、横向きで寝る姿勢なども、顎の成長方向に影響することがあります。これらの癖は、早い時期に気づいて見直すことで、予防的に良い方向へ働きます。

一方で、癖を直すだけではスペース不足が追いつかないこともあります。その場合は、成長期のうちに専門的な対応を検討することが選択肢になります。日常の癖の見直しと、必要に応じた治療を組み合わせて考えていくとよいでしょう。

顎が小さいと子供の歯並びや体に起こる影響とリスク

顎が小さいと子供の歯並びや体に起こる影響とリスク

「このままにしておくと、どうなるのだろう」。顎が小さい状態を放置したときの影響は、歯並びの見た目だけにとどまりません。歯が並ぶスペースの不足は、噛み合わせの乱れや口呼吸、いびきや睡眠の質、むし歯のなりやすさ、発音にまで関わることがあります。

ここでは、顎が小さいことで起こりうる影響を、歯並びから全身へと順に見ていきます。すべてのお子さまに当てはまるわけではありませんが、知っておくことで早めの判断につながります。

スペース不足による叢生(ガタガタ)・八重歯

最も起こりやすいのが、歯が並びきらずに重なって生える叢生です。前歯がねじれて生えたり、犬歯が飛び出して八重歯になったりします。歯が重なった部分は歯ブラシが届きにくく、汚れが残りやすくなります。その結果、むし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなる点にも注意が必要です。

見た目の問題だと思われがちですが、清掃のしにくさという機能面の影響もあわせ持っています。

出っ歯・受け口・交叉咬合など噛み合わせの乱れ

上あごが狭いと、叢生だけでなく、噛み合わせそのものが乱れることもあります。前歯が前へ出る上顎前突(出っ歯)や、下の歯が上の歯より前に出る反対咬合(受け口)などです。上下の歯が横方向で逆に噛み合う交叉咬合が起こることもあります。と

くに受け口や交叉咬合は、顎の骨格の成長が関わるため、成長期のうちの対応が大切になります。

交叉咬合や顎の偏りと小児矯正の関係については、こちらの記事でくわしく説明しています。

>>交叉咬合・顎の偏位と小児矯正の重要性について詳しくはこちら

口呼吸が習慣化しやすくなる

上あごが狭いと、その上にある鼻の通り道も狭くなりやすくなります。鼻で呼吸しにくくなると、自然と口で呼吸する時間が増え、口呼吸が習慣になりやすくなります。口呼吸は、見た目や歯並びだけでなく、睡眠や体調にも関わってきます。ここでは、口呼吸が習慣化することで起こりうる影響を、いくつかに分けて見ていきます。

いびき・睡眠時無呼吸のリスクと睡眠の質

上あごの狭さや気道の狭さは、いびきや睡眠時の呼吸のしづらさにつながることがあります。お子さまが寝ているときに、いびきをかいたり口を開けて息をしていたりする場合は、気道が狭くなっているサインかもしれません。上あごを広げると気道が広がり、呼吸や睡眠の質が整うことが期待できます。

当院の院長は睡眠歯科学会に所属し、睡眠の観点からも矯正治療を考えています。子どもの睡眠といびきについては、こちらの記事も参考になります。

>>子どもの睡眠・いびきと歯科からのアプローチについて詳しくはこちら

むし歯・歯周病になりやすくなる

歯が重なっていると、歯と歯の間や重なった部分に汚れが残りやすくなります。毎日ていねいに歯みがきをしても、ブラシの毛先が届きにくい場所ができてしまいます。その結果、むし歯や歯ぐきの炎症のリスクが高まります。歯並びを整えることは、清掃のしやすさという点でも、お口の健康を守ることにつながります。

当院では予防歯科にも力を入れ、むし歯のリスクを評価しながら管理する方法を取り入れています。

発音・滑舌への影響

前歯の噛み合わせや、舌の動かし方は、発音や滑舌にも関わります。とくにサ行やタ行など、舌や前歯を使う音は、歯並びの影響を受けやすいといわれています。お子さまの発音が気になる場合、その背景に歯並びや舌の位置が関係していることもあります。

過度に心配する必要はありませんが、気になるときは一度相談してみると安心です。

子供の顎が小さいのを様子見してよいか、判断するポイント

子供の顎が小さいのを様子見してよいか、判断するポイント

「歯科で様子を見ましょうと言われたけれど、本当にこのままでよいのか」。こうした迷いを持つ保護者の方は多くいらっしゃいます。顎が小さい歯並びは、自然に改善するケースもありますが、その割合は多くありません。むしろ、時間の経過とともに差が大きくなるケースに注意が必要です。

ここでは、様子を見てよい場合と、早めに相談したほうがよい場合の判断のポイントを見ていきます。

自然に顎が広がって歯が並ぶケースは多くない?

乳歯の時期に見られるわずかなスペース不足が、成長の中で改善することもあります。しかし、上あごの発育不足が背景にある場合、自然に十分なスペースが生まれることは多くありません。「そのうち広がるだろう」と期待して待っているうちに、永久歯が生えそろってしまうこともあります。

上あごが成長する時期は限られているため、待つことでその時期を逃してしまう可能性があります。自然な改善を期待できるかどうかは、検査を通じて見極めることが大切です。

「永久歯が生えそろってから」では対応が難しくなる理由

「永久歯が生えそろってから矯正を考えればよい」という声を耳にすることがあります。しかし、永久歯がそろう頃には、上あごの成長のピークを過ぎていることが多くなります。骨が固まってくると、歯を動かすだけでは骨格的なスペース不足を補いきれない場合があります。その結果、歯を抜いてスペースを作る抜歯矯正や、外科的な処置が必要になることもあります。

当院の院長は、口腔外科での臨床経験を通じて、骨格が関わる症例を数多く診てきました。だからこそ、早めに動くことで選択肢が広がる、という点を大切に考えています。

早めに相談すべきサイン

次のような様子が見られる場合は、様子見ではなく一度相談してみることをおすすめします。前歯が重なって生えてきている、乳歯の段階で歯のすき間がない、口呼吸が習慣になっている、といったサインです。これらは、上あごの発育不足やスペース不足のサインであることがあります。

相談したからといって、すぐに治療が始まるわけではありません。今は様子を見てよいのか、動いたほうがよいのかを知るだけでも、気持ちが楽になります。

顎が小さい子供の歯並びを改善する矯正治療(顎を広げる方法)

顎が小さい子供の歯並びを改善する矯正治療(顎を広げる方法)

顎が小さい子供の歯並びを改善するうえで中心になるのが、「顎を広げてスペースを作る」という考え方です。大人の矯正が歯を動かすことを中心にするのに対し、成長期は上あごの成長そのものを促せる点に特徴があります。

ここでは、顎を広げるという考え方、主な装置の種類、顔つきの変化への不安、そして当院のアプローチについて順に説明します。装置ごとに向き・不向きがあるため、それぞれの特徴を知ることが装置選びの助けになります。

「歯を並べる」前に「顎を広げてスペースを作る」という考え方

歯がきれいに並ぶには、並ぶための土台となるスペースが必要です。スペースが足りないまま歯だけを動かそうとすると、無理が生じたり、歯を抜く必要が出たりします。

成長期のお子さまは、上あごが成長する力を利用して、スペースそのものを広げられる可能性があります。土台を広げてから歯を並べることで、歯を抜かずに治療できる可能性も高まります。

この「まず土台を広げる」という考え方が、子供の矯正と大人の矯正の大きな違いといえます。

顎を広げる主な矯正装置の種類と特徴

顎を広げる装置には、いくつかの種類があります。取り外しができるものと、歯に固定するもの、また受け口を伴う場合に使うものなど、目的によって選び方が変わります。

「どの装置がうちの子に合うのか」と迷う保護者の方も多いところです。ここでは代表的な装置を取り上げ、それぞれの特徴を見ていきます。どれが適しているかは、検査の結果をふまえて判断します。

拡大床(取り外し式)

拡大床(かくだいしょう)は、取り外しができるタイプの装置です。プレートについたネジを回して、少しずつ歯列の幅を広げていきます。取り外せる手軽さがある一方で、装着している時間の長さによって効果が変わります。装着時間が不足すると、思うように広がらないこともあります。お子さまと保護者が装着時間を意識して続けられるかどうかが、ひとつの目安になります。

急速拡大装置(固定式)

急速拡大装置は、歯に固定して使うタイプの装置です。上あごの中央にある縫合部分に働きかけ、上あごを横方向へ広げていきます。固定式のため取り外す必要がなく、装着時間が本人の協力度に左右されにくい点が特徴です。1日1回、保護者がネジを回す操作が必要になります。開始する年齢が早いほど骨が柔らかく、負担が少ない傾向があります。当院では、この固定式の急速拡大装置を治療の軸のひとつとしています。

マウスピース型の装置・プレオルソ(未就学〜軽度向け)

プレオルソは、やわらかいシリコン素材でできたマウスピース型の装置です。痛みが少なく、歯型取りが不要で、日中と就寝中の装着で使えます。口呼吸や舌の位置、口周りの筋機能の改善に向いており、未就学のお子さまや軽度のケースに適しています。適応の見極めが大切で、合わないケースに使っても十分な効果は得られません。こどものマウスピース矯正については、こちらでくわしく説明しています。

>>こどものマウスピース矯正について詳しくはこちら

上顎前方牽引装置(受け口を伴う場合)

上顎前方牽引装置は、上あごを前方へ引き出す働きをする装置です。就寝中に装着し、上あごの成長が下あごに追いついていない受け口(反対咬合)のケースに用いられます。上あごを横に広げる急速拡大装置と組み合わせることで、より働きかけやすくなると考えられています。受け口を伴う顎が小さいケースでは、複数の装置を組み合わせて対応することがあります。どの組み合わせが適するかは、検査をふまえて判断します。

装置で顔つきが大きく変わらないか心配な方へ

「顎を広げると、顔つきが変わってしまうのではないか」。こうした心配を持つ保護者の方もいらっしゃいます。上あごを広げる過程では、一時的に見た目の印象が変わることがあります。

ただし、時間の経過とともに、周りの軟組織がなじんで落ち着いていくと考えられています。

当院では、お顔全体のバランスを見ながら、少しずつ慎重に広げていくことを大切にしています。心配な点は、治療を始める前のカウンセリングで確認しておくと安心です。

たむら歯科・こども矯正歯科の固定式装置を軸にしたアプローチ

「プレオルソを使ったけれど効果が出なかった」「装置を続けられなかった」。そうした経験を持つ保護者の方に向けて、当院の考え方をお伝えします。

たむら歯科・こども矯正歯科では、固定式の急速拡大装置を軸に、症例に応じて前方牽引装置やマウスピースを組み合わせています。

ここでは、その特徴を三つの点から説明します。当院のこども矯正のくわしい内容は、こちらのページでご覧いただけます。

>>当院のこども矯正(顎顔面矯正)について詳しくはこちら

協力度に左右されない固定式という安心

固定式の装置は取り外せないため、お子さまが「今日は着けたくない」と感じる日があっても、装着が途切れる心配がありません。取り外し式の装置では、装着時間が不足すると効果が出にくいことがあります。固定式であれば、装着時間を気にかける負担が減り、保護者の方も見守りやすくなります。

お子さまの協力度によって結果が左右されにくい点は、固定式の大きな安心につながります。

セファロ・CT・口腔内スキャナーによる精密診断

装置を決める前には、見た目だけでなく、骨格や気道、歯列を立体的に評価することが大切です。

頭部エックス線規格写真(セファロ)は、上あごや下あごの前後・上下の関係を分析するために使います。

CTは、骨格や気道を三次元的に確認できます。

口腔内スキャナーは、印象材を使わずにお口の中を読み取れるため、嘔吐反射が強いお子さまの負担も抑えられます。

こうした精密な検査が、適応の見極めと失敗のリスクを抑えることにつながります。

難症例に対応するインプラントアンカー

骨の縫合が癒合しかかっている年齢や、症状が進んだケースでは、通常の拡大が難しいことがあります。こうした難しい症例に対して、当院ではインプラントアンカー(骨性アンカレッジ)を用いた方法にも対応しています。

これは、麻酔をしたうえで小さなネジを骨に固定し、それを支えにして上あごを広げる方法です。対応できる選択肢の幅が広いことは、複雑なケースでも相談しやすい安心につながります。

家庭でできるお子様の顎の成長サポート

家庭でできるお子様の顎の成長サポート

「家庭で顎を広げる方法はないのか」「顎を鍛えるおやつは効果があるのか」。

こうした疑問を持つ保護者の方も多くいらっしゃいます。日常の中には、顎の成長を支える工夫がいくつもあります。ただし、家庭でのケアには限界もあります。ここでは、家庭で取り組めることと、それだけでは難しい場合について、正直にお伝えします。できることと専門的な治療の役割を知ることで、無理のない見通しが立てられます。

よく噛んで食べる・歯ごたえのある食材を取り入れる

よく噛んで食べることは、顎や口周りの筋肉に適度な刺激を与えます。根菜や乾物、きのこなど、歯ごたえのある食材を取り入れるのは、日常でできる工夫のひとつです。飲み物で流し込まず、ひと口ごとにしっかり噛む習慣を意識するとよいでしょう。

ただし、噛むことだけで骨格的なスペース不足が解消するわけではありません。未就学のお子さまでは、こうした習慣づけとあわせて、予防的なアプローチも選択肢になります。

未就学児のプレこども矯正とMFTについては、こちらをご覧ください。

>>未就学児のプレこども矯正・MFTについて詳しくはこちら

鼻呼吸を意識し、お口ぽかんを防ぐ

鼻で呼吸する習慣は、舌の位置や上あごの成長によい影響を与えます。日中、お子さまの口が開いていたら、そっと「お口を閉じようね」と声をかけてあげてください。就寝中に口が開いている場合も、様子を見てあげるとよいでしょう。

ただし、鼻づまりが強くて鼻呼吸がしづらい場合もあります。その際は、耳鼻科で鼻の状態を診てもらうことも、呼吸を整える助けになります。呼吸を大切にする姿勢は、歯並びを診るうえでも欠かせません。

正しい舌の位置と姿勢を身につける

舌は、上あごの内側に軽く触れている状態が本来の位置です。食事のときや安静にしているときに、舌が下がっていないか気にかけてあげてください。また、頬杖をつかない、背筋を伸ばして座るなど、日常の姿勢も顎の成長に関わります。

こうした舌の位置や姿勢は、口腔筋機能療法(MFT)というトレーニングで整えていくことができます。家庭での声かけと、専門的な指導を組み合わせると、続けやすくなります。

家庭のケアだけでは改善が難しい場合がある理由

家庭での取り組みは、顎の成長を支える大切な土台になります。一方で、すでにスペース不足や噛み合わせの乱れが進んでいる場合、家庭のケアだけでは追いつかないことがあります。とくに骨格が関わるケースでは、成長期のうちに装置を使った働きかけが必要になることがあります。

「できるだけのことはしているのに、歯並びが気になる」と感じたら、一度専門的な検査を受けてみてください。家庭のケアと治療は、対立するものではなく、組み合わせて考えるものです。

顎が小さい子供の歯並び矯正はいつから始めるべきか

顎が小さい子供の歯並び矯正はいつから始めるべきか

「矯正はいつから始めればよいのか」「もう遅いのではないか」。開始時期は、多くの保護者の方が気にされる点です。顎が小さい子供の歯並び矯正では、上あごが成長する時期をどう活かすかが大切になります。

ここでは、上あごの成長のピークと、年齢別の治療の考え方を見ていきます。年齢によってできることは変わりますが、どの年齢でも相談する意味があります。年齢別のくわしい治療の選び方は、こちらの記事でも紹介しています。

>>子どもの矯正はいつから?年齢別の最適な治療について詳しくはこちら

上あごの成長のピークは5〜8歳ごろ

上あごは、5歳から8歳ごろにかけて活発に成長するといわれています。この時期は骨が柔らかく、広げる働きかけに反応しやすい時期です。上あごの成長を治療に活かせるため、スペース不足への対応がしやすくなります。

この時期を過ぎると骨が固まり始め、同じ働きかけでも動きにくくなっていきます。だからこそ、上あごが成長するこの時期に相談し、必要に応じて治療を始めることが大切です。

年齢別に見る治療の考え方

年齢によって、できることや適した治療は変わります。ここでは、大きく三つの年齢帯に分けて、治療の考え方を見ていきます。「うちの子の年齢ではどうなのか」という視点で読んでみてください。どの年齢帯であっても、相談すること自体に早すぎるということはありません。

0〜4歳:まずは相談・予防的アプローチから

0歳から相談を受け付けており、この時期に来ていただくこと自体に意味があります。まだ本格的な装置を使う段階ではないことが多いですが、口呼吸や指しゃぶりといった癖に早く気づけます。プレオルソやMFTを使った予防的なアプローチで、顎の成長を支えていくこともできます。「早すぎるかも」とためらわず、気になった時点で相談してみてください。

5〜8歳:骨格へアプローチできる最適な時期

5歳から8歳ごろは、上あごの成長を活かして骨格に働きかけられる時期です。急速拡大装置などを使い、上あごを広げてスペースを作る対応がしやすくなります。受け口を伴う場合は、5歳ごろからのスタートがすすめられることもあります。この時期に相談・治療を始められると、選択肢が広く、負担も抑えやすくなります。歯並びが気になり始めたら、この時期を逃さないことが大切です。

9歳以降:遅れても選択肢はある

9歳以降になると、骨が固まり始め、上あごを広げる働きかけは難しくなっていきます。それでも、装置の工夫や治療期間の調整によって対応できることがあります。中学生以降では、マウスピース型の装置などを使い、歯列を整えるアプローチへと変わっていきます。「もう遅い」と諦める前に、今できる選択肢を確認してみてください。年齢が上がっても、相談する価値はあります。

顎を広げる矯正にかかる費用と期間の目安

顎を広げる矯正にかかる費用と期間の目安

「治療にはどのくらいの費用や期間がかかるのか」。治療を検討するうえで、費用と期間は気になるところです。顎を広げる矯正は、相談から検査、診断、装置の装着へと段階を踏んで進みます。

ここでは、治療の流れ、費用の考え方、期間の目安について説明します。費用や期間には個人差があるため、くわしくは検査のうえでご案内します。最新の費用については、費用ページでご確認いただけます。

>>治療費用について詳しくはこちら

治療の流れ(相談・精密検査・診断・装置装着)

治療は、いくつかの段階を踏んで進みます。

まず、歯並び相談で気になる点をうかがい、お口の状態を確認します。次に、セファロやCT、口腔内スキャンなどの精密検査を行います。その結果をもとに診断し、治療計画を説明します。ご納得いただいたうえで、装置の装着と経過観察へと進みます。

何が行われるかを事前に知っておくと、見通しが立てやすく安心につながります。当院では、歯並び相談を無料で受け付けています。

費用の考え方

顎を広げる子供の矯正は、保険が適用されない自費診療が基本になります。

費用は、精密検査、診査・診断、装置を使った治療など、段階に応じてかかります。難しい症例では、追加の費用がかかる場合もあります。

金額は改定されることがあるため、最新の費用は費用ページやカウンセリングでご確認ください。早い時期に始めるほど、装置がシンプルに済み、結果として負担を抑えられる場合が多いです。

治療期間の目安

治療期間にも個人差があります。

急速拡大装置を使う場合、上あごを広げる期間と、広げた状態を保つ期間を合わせて、おおよそ10か月から18か月ほどが目安とされています。その後、必要に応じて歯列を整える治療へと続くことがあります。

お子さまの成長や症状によって期間は変わります。「うちの子の場合はどのくらいか」は、検査のうえでご案内できます。

たむら歯科・こども矯正歯科が顎が小さいお子さまの矯正で大切にしていること

たむら歯科・こども矯正歯科が顎が小さいお子さまの矯正で大切にしていること

ここまで、顎が小さい子供の歯並びについて、原因から治療、時期までを見てきました。

最後に、たむら歯科・こども矯正歯科が大切にしている考え方をお伝えします。歯を並べることをゴールにせず、上あごの成長や呼吸、睡眠まで含めて診ること。院長自身の経験を活かすこと。そして、お子さまが通いやすい環境を整えること。

この三つの点から、当院の姿勢をご紹介します。

歯並びだけでなく呼吸・睡眠・成長まで診る

歯並びの乱れの背景には、上あごの発育不足や口呼吸、気道の狭さが関わっていることがあります。歯を並べるだけでは、こうした背景に十分に届かないことがあります。上あごを広げることは、歯の並ぶスペースを作るだけでなく、気道を広げ、呼吸や睡眠を整えることにもつながると考えられています。「歯医者なのに、子どものいびきや呼吸まで診てもらえる」という視点で診療していることは、当院の特徴のひとつです。睡眠の観点からのアプローチについては、こちらをご覧ください。

>>睡眠歯科について詳しくはこちら

院長自身の当事者経験と口腔外科での臨床経験

当院の院長は、自身も口呼吸や鼻づまりに悩んだ経験があります。だからこそ、呼吸を整えることの大切さを、当事者としても理解しています。また、口腔外科での臨床経験を通じて、骨格が関わる症例を数多く診てきました。成長期のうちに骨格へ働きかけることで、将来の外科的な治療の負担を避けられる可能性がある。この視点を大切にしながら、早い時期からの相談をおすすめしています。歯並びと将来の見通しを、一緒に考えていきます。

顎が小さくスペースが不足しているお子さまへの対応例

上あごが狭く、永久歯の並ぶスペースが不足しているお子さまは少なくありません。こうしたケースでは、上あごを広げる装置と、下あごを整える装置を組み合わせて対応することがあります。実際にどのように相談が進むのかを知っておくと、来院前の不安がやわらぎます。当院では、こうしたご相談の様子を事例としてご紹介しています。顎が小さくスペースが足りないお子さまのご相談例は、こちらをご覧ください。

>>「歯が並ぶスペースが少ない」お子さまのご相談例はこちら

子どもが自分から通いたくなる院内環境

矯正治療は、長い期間をかけて通うことになります。だからこそ、お子さまが通いやすい環境が大切だと考えています。当院には、動物園や公園をモチーフにしたキッズルームや、遊具を備えたスペースがあります。また、いきなり治療を始めるのではなく、チェアに座る、ライトを当てる、といった段階を踏んで少しずつ慣れていく進め方を取り入れています。「歯医者が怖い」というお子さまも、無理なく通える工夫をしています。

まとめ:顎が小さいサインは成長期の今が改善のチャンス

まとめ:顎が小さいサインは成長期の今が改善のチャンス

子供の「顎が小さい」という状態の多くは、上あごの発育が十分でなく、歯の並ぶスペースが足りていない状態です。

原因は遺伝だけでなく、口呼吸や舌の位置、食生活や日常の癖も関わります。だからこそ、環境や成長への働きかけによって、改善が見込めます。

放っておくと、叢生や噛み合わせの乱れ、口呼吸やいびき、むし歯のなりやすさにつながることがあります。上あごが成長する5歳から8歳ごろは、顎を広げてスペースを作る対応がしやすい時期です。

家庭でのケアも大切ですが、それだけでは難しい場合もあります。専門的な検査を受けることで、今は様子を見てよいのか、動いたほうがよいのかが見えてきます。

お子さまの歯並びや顎の成長、口呼吸やいびきなど、気になる点があれば、まずは一度ご相談ください。滋賀県高島市のたむら歯科・こども矯正歯科では、お子さまの成長に合わせた治療を一緒に考えていきます。

【執筆・監修者】

たむら歯科・こども矯正歯科 院長

田村 光正 (歯科医師)

  • 滋賀医科大学精神科 客員
  • 睡眠歯科学会会員
  • 顎咬合学会会員
  • 即時荷重研究会会員
  • 口育士

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滋賀県高島市安曇川町末広3丁目3-1

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