
「うちの子、指しゃぶりがなかなかやめられない」「前歯が出てきた気がするけれど、指しゃぶりのせいなのか」「やめさせれば歯並びは元に戻るのか」。このようなお悩みをお持ちの親御さんは少なくありません。
指しゃぶりは赤ちゃんの時期には自然な行動です。しかし長く続くと、前歯を押し出したり、上あごの横幅を狭めたりして、出っ歯や開咬などの歯並びに影響することがあります。
一方で「指しゃぶりさえやめれば歯並びは自然に治る」と考えられがちです。実際には、舌の癖や口呼吸が残っていたり、上あごの成長に影響が出ていたりすると、やめた後も歯並びが戻りにくいことがあります。気づかないまま成長期を過ぎると、骨格へのアプローチが難しくなり、治療の負担が大きくなることもあります。
この記事では、指しゃぶりが歯並びに影響する仕組み、何歳までにやめるべきかの目安、指しゃぶりを辞めるのを叱らずに促す方法、歯並びが乱れた場合の治療法までを解説します。滋賀県高島市のたむら歯科・こども矯正歯科 院長 田村光正が、日々の診療と臨床経験をもとにお伝えします。
目次
指しゃぶりが歯並びに影響する仕組み

「指しゃぶりくらいで、本当に歯並びが変わるの」と感じる親御さんもいらっしゃるかもしれません。歯は骨に固定されているように見えますが、実はまわりの筋肉の力に合わせて少しずつ位置を変えています。
内側からは舌が、外側からは唇と頬が歯を押しており、その力が釣り合う場所に歯は並びます。指しゃぶりは、この釣り合いを毎日同じ方向に崩してしまう習慣です。
影響が大きいのは、指が歯を押す力、指を吸う力、吸うときに締まる頬の力の3つです。これらが長い時間かかり続けると、前歯の傾きだけでなく、上あごの横幅にまで変化が及ぶことがあります。ここでは、その仕組みと影響の大きさを左右する条件について、次で詳しく解説します。
指の圧・吸う力・頬の圧の3つが歯と顎にかかる
親指をしゃぶるとき、指の腹は上の前歯の裏側に当たり、爪側は下の前歯を内側へ押しています。この状態が続くと、上の前歯は前に傾き、下の前歯は内側へ倒れやすくなります。
さらに、上下の前歯のあいだに指が挟まっている時間が長いと、前歯が本来の高さまで伸びてこられません。奥歯は噛み合っているのに前歯だけにすき間が残るのは、このためです。
3つ目が頬の力です。指を吸うときには口の中の圧が下がり、頬の筋肉が内側へぎゅっと締まります。この力は、上の奥歯の列を内側へ押す方向に働きます。
「前歯だけの問題だと思っていた」という親御さんは少なくありません。実際には、前歯・奥歯・上あごの3か所に同時に力がかかっていると考えると、指しゃぶりの影響がイメージしやすくなります。
頬の圧で上あごの横幅が狭くなる(歯列狭窄)
指しゃぶりの影響は、前歯の傾きだけにとどまらないことがあります。吸うたびに頬が内側へ締まり、上の奥歯の列が少しずつ内側へ押されるためです。
その結果、上の歯列がU字型からV字型に近い形になり、上あごの横幅が狭くなります。これを歯列狭窄(しれつきょうさく)といいます。
上あごが狭くなると、生え変わってくる永久歯の並ぶスペースが足りなくなります。歯が重なり合ってガタガタになる叢生(そうせい)や、上下の奥歯の噛み合わせが横にずれる原因にもなります。
また、上あごの骨は鼻の通り道の底の部分でもあります。上あごの幅は、歯並びだけでなく呼吸のしやすさとも関わっていると考えられています。
影響の大きさは「期間・頻度・強さ」で変わる
「上の子も指しゃぶりをしていたのに、歯並びは問題なかった」というお話をよく伺います。指しゃぶりの影響には個人差が大きく、いくつかの条件によって変わります。
一つ目は、続けている期間です。乳歯の時期に卒業できた場合と、永久歯に生え変わってからも続いている場合とでは、影響の残り方が異なります。
二つ目は、1日のうちどれくらいの時間しているかです。寝入りの数分だけなのか、テレビを見ているあいだや寝ているあいだも続いているのかで、歯にかかる力の総量は大きく変わります。
三つ目は、吸う強さです。吸う指にタコができている、指の皮膚がふやけている、吸う音が聞こえるといった場合は、強い力がかかっているサインと考えられます。
3歳を過ぎても「長時間・頻繁・強い」指しゃぶりが続いている場合は、歯並びへの影響が出やすいと考えておくとよいでしょう。
おしゃぶりと指しゃぶりでは歯並びへの影響が違う
「指しゃぶりよりおしゃぶりのほうが、歯並びにはよいのでは」と迷われる親御さんもいらっしゃいます。
小児科と小児歯科の保健検討委員会の見解では、2歳児の調査で、指しゃぶりをしている子には出っ歯が、おしゃぶりを使う子には開咬が多くみられたと紹介されています。どちらも長く続くと、乳歯の噛み合わせに影響する点は同じです。
おしゃぶりの利点は、親御さんが使う場面や卒業の時期を決めやすいことです。指は取り上げることができませんが、おしゃぶりは寝かしつけのときだけに使うなど、使い方を調整できます。
一方で、使う時間が長くなると、前歯のすき間や口呼吸につながるおそれがあります。お子さまが言葉を話し始める時期を目安に、少しずつ使う場面を減らしていく考え方が一般的です。
指しゃぶりが原因で生じやすい悪い歯並びの種類

「うちの子の歯並びは、指しゃぶりの影響なのだろうか」と気になっている方も多いと思います。
指しゃぶりが原因となりやすい歯並びは、大きく分けると3つのタイプがあります。上の前歯が前に出る出っ歯、前歯が閉じない開咬、そして上あごが狭くなる歯列狭窄と交叉咬合です。
これらは単独で起こるだけでなく、いくつかが重なって現れることもあります。見た目の特徴を知っておくと、日常の中で変化に気づきやすくなります。それぞれの歯並びの特徴と、指しゃぶりとの関係について次で詳しく解説します。
出っ歯(上顎前突)|上の前歯が前に傾く
出っ歯は、指しゃぶりで多くみられる歯並びの変化です。専門的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれます。
親指の腹が上の前歯の裏側を押し続けると、前歯は少しずつ前方へ傾いていきます。同時に、爪側が下の前歯を内側へ押すため、上下の前歯の前後の差がさらに広がります。
前歯が前に出ると唇が閉じにくくなり、口が開いている時間が長くなります。転んだときに前歯をぶつけて欠けたり、ぐらついたりしやすくなる点にも注意が必要です。
なお、出っ歯の原因は指しゃぶりだけではありません。いつも口が開いている「お口ぽかん」や、上あごの狭さが関わっていることも多くあります。
指しゃぶりがひどいと出っ歯が進みやすい理由
ここでいう「ひどい指しゃぶり」とは、日中も寝ているあいだも続いている、吸う音が聞こえるほど強い、指にタコがあるといった状態です。このような指しゃぶりでは、前歯を押す力が長時間かかるため、出っ歯が進みやすくなります。
さらに、前歯がある程度前に出ると、今度は下唇が上の前歯の裏側に入り込むようになります。下唇が前歯を内側から押し出すことで、指しゃぶりをしていない時間にも出っ歯が進むという悪循環が起こります。
そのため、指しゃぶりをやめた後も「下唇を噛む」「下唇を巻き込む」といった癖が残り、出っ歯が戻りにくいケースがあります。
開咬(かいこう)|奥歯で噛んでも前歯が閉じない
開咬は、奥歯をしっかり噛み合わせても、上下の前歯のあいだにすき間が残る状態です。
指が上下の前歯のあいだに挟まっている時間が長いと、前歯が本来の高さまで伸びてこられなくなります。その結果、指の形に合わせたようなすき間が前歯に残ります。
日常生活では、麺類や葉物野菜を前歯で噛み切りにくい、サ行やタ行の発音がはっきりしない、といった形で気づくことが多いです。
「指しゃぶりをやめたのに、前歯のすき間が閉じない」というご相談もよくあります。その場合、すき間に舌を入れる癖(舌突出癖)が加わっている可能性があります。舌が前歯を押す力が続くと、指しゃぶりを卒業した後も開咬が残りやすくなります。
上あごが狭くなる歯列狭窄と交叉咬合
指しゃぶりで頬の筋肉が内側へ締まる力が続くと、上の歯列の幅が狭くなります。上から見ると、本来はなだらかなU字型の歯列が、とがったV字型に近づいていきます。
上あごが狭くなると、下の歯列とのバランスが崩れます。上下の奥歯の噛み合わせが横にずれる状態を、交叉咬合(こうさこうごう)といいます。
交叉咬合があると、噛むときに下あごを左右どちらかにずらす癖がつくことがあります。成長期にこのずれが続くと、顔の左右差につながる可能性も指摘されています。
また、上あごが狭いと永久歯が並ぶスペースが不足します。前歯の重なりや、乳歯の内側から永久歯が生えてくるといった変化の背景に、上あごの狭さが隠れていることもあります。
指しゃぶりで受け口になることはあるのか
「指しゃぶりで受け口になることもあるのでしょうか」というご質問をいただくことがあります。指しゃぶりでは上の前歯が前に傾くことが多いため、指しゃぶりが直接受け口を招くケースは多くないと考えられます。
ただし、指しゃぶりで上あごが狭く小さくなると、上下のあごのバランスが崩れます。その結果、相対的に下の前歯が前に出て見えるケースもあります。
当院を受診される受け口のお子様の中には、「下あごが出すぎている」状態ではなく、「上あごの成長が足りない」状態であるケースも非常に多いです。指しゃぶりと受け口は、上あごの成長不足という共通点でつながる場合があるといえます。
指しゃぶりが歯並び以外に与える影響

「歯並びさえ整えば大丈夫」と思われがちですが、指しゃぶりの影響は歯並びだけで終わらないことがあります。
お口のまわりでは、舌の位置、唇の閉じ方、呼吸の仕方、飲み込み方がすべてつながっています。指しゃぶりでそのどれかが崩れると、ほかの機能にも変化が広がっていきます。
たとえば、前歯のすき間に舌を入れる癖や、口呼吸への移行です。こうした変化は、指しゃぶりを卒業した後も歯並びに影響を与え続けることがあります。舌の癖、口呼吸と睡眠、発音や衛生面への影響について次で詳しく解説します。
指しゃぶりの後に残りやすい「舌で前歯を押す癖」
指しゃぶりで前歯にすき間ができると、飲み込むときや話すときに、そのすき間へ舌を押し出す癖がつくことがあります。これを舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)といいます。
本来、飲み込むときの舌の先は、上の前歯の裏側の少し奥に当たっています。ところが舌突出癖があると、飲み込むたびに舌が前歯を前へ押すことになります。
人は1日に何百回も唾液を飲み込んでいます。そのたびに舌が前歯を押すと、指しゃぶりをやめた後も開咬や出っ歯が戻りにくくなります。
「話すときに舌が見える」「食べるときに舌が前に出る」「前歯のあいだに舌を挟んでいる」といった様子があれば、舌の癖が残っているサインかもしれません。指しゃぶりの卒業と舌の癖の改善は、セットで考えることが大切です。
口呼吸・お口ぽかんとの悪循環と睡眠への影響
指しゃぶりで前歯が前に出ると、唇を閉じにくくなります。口が開いている時間が長くなると、鼻ではなく口で呼吸する習慣がつきやすくなります。
口呼吸になると、舌は上あごから離れて下のほうに落ちた位置になりがちです。舌は内側から上あごを広げる役割を担っているため、舌の位置が下がると上あごがさらに狭くなります。
こうして、前歯が出る、口が開く、舌が下がる、上あごが狭くなる、という悪循環が生まれます。上あごの狭さは鼻呼吸のしにくさとも関係し、いびきや眠りの浅さにつながることもあります。
院長の田村自身も、口呼吸と鼻づまりに悩んできた経験があります。だからこそ、歯並びとあわせて呼吸の状態にも目を向けることを大切にしています。
発音・飲み込み・指ダコ・むし歯など、その他の影響
前歯にすき間があると、空気がもれてサ行やタ行の発音がはっきりしないことがあります。舌を前に出して飲み込む癖が続くと、食べ物をうまく飲み込みにくくなることもあります。
前歯で食べ物を噛み切れないため、奥歯ばかりで噛んだり、よく噛まずに飲み込んだりするなど、食べ方に偏りが出ることもあります。
指そのものへの影響としては、指ダコができたり、皮膚がふやけて荒れたりすることがあります。
また、外で遊んだ手の指を口に入れることになるため、衛生面にも注意が必要です。口が開いて口の中が乾きやすくなると、むし歯や歯肉炎のリスクが高まることも知られています。
指しゃぶりはいつまで大丈夫?年齢別の目安と歯並びへの影響

「指しゃぶりは何歳までにやめさせればいいのか」は、親御さんから特に多くいただくご質問です。
小児科と小児歯科の専門家による見解では、3歳頃までの指しゃぶりは生理的なものとして見守り、それ以降も続く場合は4歳頃を目安に少しずつ卒業を促す考え方が示されています。令和4年4月以降に交付される母子健康手帳でも、専門家への相談の目安が「3歳を過ぎても」から「4歳を過ぎても」に変わりました。
ただし、年齢だけで判断できるわけではありません。頻度や強さ、すでに歯並びに変化が出ているかによって対応は変わります。年齢ごとの目安について次で詳しく解説します。
0〜2歳|赤ちゃんの指しゃぶりは自然な発達の一部
赤ちゃんは、お母さんのおなかの中にいる頃から指を口に運ぶ動きをしています。生まれてからも、生後2〜3ヶ月頃になると、手を口に入れたり指をしゃぶったりする姿がよく見られます。
この時期の指しゃぶりは、口で手や指の形を確かめ、自分の体を知っていく発達の過程の一つです。
「生後3ヶ月なのに指しゃぶりが激しい」と心配になる方もいらっしゃいますが、乳児期の指しゃぶりは無理にやめさせる必要はありません。
1〜2歳になると、手を使った遊びが増えるにつれて、昼間の指しゃぶりは自然と減っていきます。眠いときや退屈なときに見られる程度であれば、温かく見守って大丈夫です。この時期に歯並びへの影響を強く心配する必要はほとんどありません。
3〜4歳|「4歳」を目安に少しずつ卒業へ
3歳を過ぎると、保育園や幼稚園でお友だちと遊ぶ時間が増え、指しゃぶりは自然と減っていくことが多くなります。
一方で、この年齢でも頻繁に指しゃぶりが続いている場合は、乳歯の出っ歯や前歯のすき間が目に見えてくることがあります。3歳児健診で指摘を受けて、初めて気づく方も少なくありません。
乳歯の段階で指しゃぶりを卒業できれば、前歯の傾きやすき間は自然に改善していくことが期待できます。そのため、4歳頃を一つの目安に、少しずつ卒業を目指していくのがよいとされています。
ただし、焦って強くやめさせる必要はありません。まず日中の指しゃぶりを減らし、次に寝入りの指しゃぶりへと、順番に進めていくと親子ともに負担が少なくなります。
5〜6歳(就学前)|永久歯への生え変わり前に卒業したい理由
5〜6歳になると、下の前歯から永久歯への生え変わりが始まります。この時期に指しゃぶりが続いていると、生えてくる永久歯の位置や傾きに影響が残りやすくなります。
乳歯の歯並びは、生え変わりとともにリセットされる部分もあります。しかし永久歯は、一度傾いて生えてくると自然に戻る余地が小さくなります。
また、5〜8歳は上あごの成長が活発な時期でもあります。指しゃぶりで上あごが狭くなっている場合、この時期であれば骨格から広げる治療を選ぶことができます。
「まだ乳歯だから」と様子を見るだけでなく、生え変わりの前に上あごの状態を一度確認しておくと、その後の選択肢が広がります。
小学生以降|寝るときだけでも続く場合は専門的な対応を
小学校に入学する頃には、ほとんどのお子さまで指しゃぶりは見られなくなります。7歳、8歳を過ぎても続いている場合は、本人もやめたいのにやめられない状態になっていることがあります。
「日中はしていないけれど、寝るときだけ指をしゃぶっている」というケースもよくあります。寝入りの短い時間であれば影響は小さいことが多いですが、寝ているあいだずっと吸っている場合は、長時間にわたって歯や上あごに力がかかります。
この時期は永久歯の前歯が生えそろってくるため、指しゃぶりの影響が歯並びとして固定されやすくなります。
専門家の見解でも、小学校入学後も続く指しゃぶりには、小児科医・小児歯科医・臨床心理士が連携して対応することが勧められています。お子さまを責めず、専門家と一緒に卒業の方法を考えていきましょう。
指しゃぶりで乱れた歯並びは治る?自然に治るケースと治らないケース

「指しゃぶりをやめれば、歯並びは元に戻るのでしょうか」というご質問も、親御さんから多くいただきます。
結論からお伝えすると、自然に改善が期待できるケースもあれば、やめただけでは戻りにくいケースもあります。違いを分けるのは、指しゃぶりをやめた時期、舌の癖や口呼吸が残っていないか、上あごの幅にまで変化が及んでいないか、という点です。
「うちの子は様子を見ていてよいのか」と迷ったときの参考にしていただけるよう、自然に改善しやすいケース、戻りにくいケース、判断の方法について次で詳しく解説します。
指しゃぶりをやめると自然に改善しやすいケース
指しゃぶりによる歯並びの変化が自然に改善しやすいのは、いくつかの条件がそろっている場合です。
まず、乳歯の時期、目安として4歳頃までに指しゃぶりを卒業できていることです。乳歯のまわりの骨はやわらかく、指の力がなくなると、歯は唇や舌の力に合わせて元の位置に戻ろうとします。
次に、前歯の傾きやすき間が軽度であることです。前歯が少し前に出ている、少しすき間がある程度であれば、改善が期待できます。
そして、舌で前歯を押す癖や口呼吸がなく、上あごの幅が保たれていることです。指の代わりに歯を押す力が働いていなければ、歯並びは戻りやすくなります。
これらの条件がそろっていれば、指しゃぶりをやめてから数ヶ月〜1年ほどで、前歯のすき間が少しずつ閉じていく経過が期待できます。
指しゃぶりをやめても歯並びが戻りにくいケース
一方で、指しゃぶりをやめても歯並びが戻りにくいケースもあります。「やめられたのに前歯のすき間が閉じない」「むしろ出っ歯が目立ってきた」と感じている場合は、指しゃぶり以外の原因が隠れている可能性があります。
戻りにくいケースは、大きく分けると3つのパターンがあります。舌で前歯を押す癖や口呼吸が残っている場合、上あごの横幅が狭くなっている場合、すでに永久歯に生え変わっている場合です。
いずれも、指しゃぶりをやめるだけでは原因が取り除かれないため、癖の改善や矯正治療が必要になることがあります。それぞれのパターンについて次で詳しく解説します。
舌で前歯を押す癖や口呼吸が残っている
指しゃぶりをやめても、前歯のすき間に舌を入れる癖が残っていると、今度は舌が前歯を押し続けます。指の代わりに舌が同じ働きをしてしまうため、開咬や出っ歯が固定されやすくなります。
口呼吸が続いている場合も同様です。唇が閉じにくい状態では、前歯を外側から押さえる力が弱くなり、前歯が前に出たままになりやすくなります。
このようなケースでは、舌や唇の使い方を整えるトレーニングを並行して行うことが大切です。癖が残ったまま矯正治療で歯を並べても、治療後に歯並びが戻る「後戻り」が起こりやすくなるためです。
上あごの横幅が狭くなっている
頬の力で上あごの横幅が狭くなっている場合は、指しゃぶりをやめても、上あごが自然に広がることは期待しにくくなります。
前歯の傾きは、指の力がなくなると唇の力で戻ることがあります。しかし上あごの幅が狭くなっている状態は、歯の傾きとは異なり、骨そのものの形の問題です。
このようなケースでは、成長期であれば上あごを骨格から広げる治療を選ぶことができます。上あごの成長が活発な5〜8歳頃は、そのアプローチがしやすい時期です。
「歯並びが悪いのは、顎が小さいからでは」と気になっている方は、上あごの幅の問題が関わっていないかを確認してみることをおすすめします。
>>子どもの顎が小さいことによる歯並びへの影響について詳しくはこちら
すでに永久歯に生え変わっている
永久歯の前歯が、指しゃぶりの影響で傾いたまま生えそろうと、自然に改善する余地は小さくなります。乳歯とは異なり、永久歯は生え変わってリセットされることがないためです。
また、年齢が上がるにつれて、顎の骨の成長は落ち着いていきます。成長が終わった後の矯正治療では、骨格そのものに働きかけることが難しくなり、歯を動かす治療が中心になります。
小学校中学年以降も指しゃぶりの影響が残っている場合は、早めに歯並びの状態を確認し、治療が必要かどうかを判断することが大切です。
「様子見でよいか」は精密な検査で判断を
「もう少し様子を見ても大丈夫なのか、今のうちに相談したほうがよいのか」。見た目だけでは、この判断は難しいものです。
前歯が出ている場合でも、歯が傾いているだけなのか、上あごの幅が狭くなっているのか、上下のあごの前後のバランスがずれているのかによって、必要な対応は異なります。
たむら歯科・こども矯正歯科では、口の中をスキャンして歯並びを立体的に記録する口腔内スキャナー、頭部のレントゲンからあごの骨格を分析するセファロ、骨格や気道を三次元で確認できるCTを用いて診断を行います。矯正相談の際には、パノラマレントゲンで永久歯の状態も確認しています。
検査の結果、今は治療の必要がないとわかることもあります。「今は見守ってよい」とはっきりわかることも、親御さんの安心につながります。
指しゃぶりをやめさせる方法|叱らずに促すご家庭での工夫

「何度言っても指しゃぶりがやめられない」「つい強く叱ってしまう」。そんなお悩みを抱えている親御さんは少なくありません。
指しゃぶりの多くは、お子さまが安心を得るための行動です。無理にやめさせようとすると、隠れて続けたり、爪を噛む・唇を噛むといった別の癖に置き換わったりすることがあります。
大切なのは、お子さまの気持ちに寄り添いながら「自分でやめられた」という経験をつくることです。たむら歯科・こども矯正歯科では、毎日子育てをしている親御さんの頑張りを、まず認めることを大切にしています。指しゃぶりの理由、声かけや遊び、防止グッズ、お口のトレーニングについて次で詳しく解説します。
指しゃぶりをする子の特徴と理由|愛情不足のサインなのか
指しゃぶりが出やすいのは、眠いとき、退屈なとき、不安や緊張を感じているときです。テレビや動画を見ているとき、車での移動中、寝かしつけのときなどに多く見られます。
「指しゃぶりをするのは愛情が足りないからでは」「発達に問題があるのでは」と心配して、ご自身を責めてしまう親御さんもいらっしゃいます。しかし、指しゃぶりの多くは、気持ちを落ち着かせるための自然な行動です。指しゃぶりをしているというだけで、愛情不足や発達の問題と結びつける必要はありません。
下のきょうだいが生まれた、入園したといった環境の変化のタイミングで、一時的に増えることもあります。その場合は、指しゃぶりそのものよりも、お子さまが感じている不安に目を向けてあげることが大切です。
お子さまの様子や発達面で気になることがある場合は、かかりつけの小児科に相談してみることをおすすめします。
声かけ・手遊び・スキンシップで指から気持ちをそらす
指しゃぶりを卒業するうえで大切なのは、叱らないことです。「やめなさい」と注意されると、お子さまは恥ずかしさや不安を感じ、かえって指しゃぶりが増えることがあります。
代わりに、指しゃぶりをしていない時間に目を向けて、「今日はお昼に指を吸わなかったね」と声をかけてあげましょう。指しゃぶりをしなかった日にカレンダーへシールを貼るなど、できたことが目に見える工夫も効果的です。
指しゃぶりが出やすい時間帯には、ブロック、粘土、お絵かき、折り紙など、両手を使う遊びを取り入れるのがおすすめです。手を使っているあいだは、指が口に向かいにくくなります。
寝かしつけのときに指しゃぶりが出る場合は、手をつないだり、背中をさすったり、絵本を読んだりして、指以外で安心できる時間をつくってあげましょう。指しゃぶりをテーマにした絵本を一緒に読み、お子さま自身が「やめてみよう」と思えるきっかけをつくるのも一つの方法です。
指しゃぶり防止グッズの種類と使うときの注意点
ご家庭で使える指しゃぶり防止グッズには、指サックや手袋、苦みのあるマニキュアやクリームなどがあります。100円ショップやベビー用品店で手に入るものも多く、手軽に試せるのが利点です。
これらのグッズが役立ちやすいのは、お子さま自身が「やめたい」と思っているときです。無意識に指が口に向かったときに、「あ、今しゃぶろうとしていた」と気づくきっかけになります。
一方で、本人がやめる気持ちになっていない段階で、嫌がるのに無理につけると逆効果になることがあります。グッズを外して隠れて吸うようになるケースもあります。
使うときは、お子さまと話し合ったうえで取り入れることが大切です。小さなお子さまの場合は、部品を誤って飲み込まないよう年齢に合ったものを選び、使っている様子を見守ってあげてください。
ご家庭でできるお口のトレーニング
指しゃぶりを卒業した後に舌の癖やお口ぽかんが残らないよう、ご家庭で唇や舌を使うトレーニングを取り入れるのもおすすめです。
よく知られているのが「あいうべ体操」です。「あー」「いー」「うー」「べー」と口と舌を大きく動かすことで、唇や舌の筋肉をバランスよく使うことができます。
舌を上あごに吸いつけてから「ポン」と音を立てて離すポッピングは、舌を正しい位置に上げる練習になります。風船や吹き戻しを使った遊びは、唇を閉じる力を育てるのに役立ちます。
ただし、舌の癖の種類や程度はお子さまによって異なります。自己流で続けるよりも、歯科医院で舌や唇の状態を確認したうえで、お子さまに合ったトレーニングを教えてもらうほうが改善につながりやすくなります。
指しゃぶりで乱れた歯並びの矯正治療|年齢別の選択肢

指しゃぶりの影響で歯並びが乱れてしまった場合、「どんな治療をするのか」「何歳から始めればよいのか」が気になるところだと思います。
指しゃぶりによる歯並びの治療は、大きく分けると2つの柱で考えます。一つは、指しゃぶりの後に残った舌の癖や口呼吸など「お口の機能」を整えることです。もう一つは、前歯の傾きや上あごの狭さなど「歯並びと骨格」を整えることです。
どちらに重点を置くか、どの装置を使うかは、年齢や歯並びの状態によって変わります。未就学期、5〜8歳、9歳以降、大人の場合に分けて、次で詳しく解説します。
未就学児|プレオルソとMFTで癖と機能から整える
乳歯が中心の未就学期は、歯を大きく動かすことよりも、歯並びを乱す原因を取り除くことが治療の中心になります。指しゃぶりや、その後に残りやすい舌の癖、口呼吸などです。
この時期に取り入れやすいのが、マウスピース型の装置であるプレオルソと、口のまわりの筋肉を整えるトレーニングであるMFT(口腔筋機能療法)の組み合わせです。
プレオルソで舌や唇の正しい位置を覚えながら、MFTで筋肉の使い方を練習していくことで、前歯の位置や舌の癖の改善を目指します。
たむら歯科・こども矯正歯科では、未就学のお子さまを対象に、プレオルソとMFTを組み合わせた「プレこども矯正」を行っています。
プレオルソが指しゃぶりの卒業を後押しする仕組み
プレオルソは、やわらかいシリコン素材でできた取り外し式のマウスピース型装置です。歯型を取る必要がなく、痛みが出にくいため、小さなお子さまでも始めやすいのが特徴です。
装着するのは、日中の1時間と寝ているあいだです。装置の内側には舌を上あごへ導く形があり、装着しているだけで舌の正しい位置を覚えやすくなります。装置を入れて口を閉じることが、唇を閉じる力のトレーニングにもなります。
寝ているあいだに装置が口に入っていることで、寝入りや就寝中に指を口に入れる習慣が減りやすくなる点も期待できます。
ただし取り外し式のため、決められた時間装着することが効果の前提です。装着時間が不足すると、期待した変化が得られにくくなります。
MFTで舌の位置と飲み込み方を身につける
MFT(口腔筋機能療法)は、舌や唇、頬など、お口のまわりの筋肉の使い方を整えるトレーニングです。1日5分ほどから始められ、特別な器具がなくても自宅で取り組めます。
指しゃぶりの後に残りやすい舌突出癖に対しては、舌の先を上の前歯の裏の少し奥に置く練習や、舌を上あごに当てたまま飲み込む練習などを行います。
正しい舌の位置と飲み込み方が身につくと、前歯を舌で押す力がなくなり、前歯のすき間が閉じやすい環境が整います。
MFTをプレオルソと並行して行うことで、装置で覚えた舌の位置を日常でも保ちやすくなります。治療後に歯並びが戻る後戻りを防ぐうえでも大切な取り組みです。
5〜8歳|上あごが狭い場合は固定式の急速拡大装置で骨格から整える
指しゃぶりの影響で上あごの横幅が狭くなっている場合、舌の癖を整えるだけでは、上あごは十分に広がりません。上あごの骨格そのものに働きかける治療が必要になります。
たむら歯科・こども矯正歯科が主軸としているのが、固定式の急速拡大装置を用いた顎顔面矯正(こども矯正)です。上あごの中央にある骨のつなぎ目を少しずつ広げることで、上あごの横幅を広げていきます。
上あごが広がると、永久歯が並ぶスペースが確保され、舌も上あごに収まりやすくなります。指しゃぶりで崩れた上あごの形を、成長を利用して整えていく治療です。
この治療は、始める時期によって効果や負担が変わります。また、固定式であることにも大きな意味があります。それぞれについて次で詳しく解説します。
上あごの成長が活発な5〜8歳をいかす理由
上あごは、5〜8歳頃に大きく成長します。この時期は上あごの中央にある骨のつなぎ目がまだやわらかく、装置の力で広げやすい状態です。
成長期のうちに上あごを広げておくと、永久歯が並ぶスペースを確保しやすくなり、将来歯を抜いて並べる矯正を避けられる可能性が高まります。
また、急速拡大装置は乳歯の奥歯に固定して使う装置です。そのため、乳歯の奥歯が残っている時期に始めやすいという事情もあります。
年齢が上がると骨のつなぎ目が固くなり、広がり方が小さくなったり、痛みを感じやすくなったりする傾向があります。「もっと早く相談しておけばよかった」とならないよう、早めに上あごの状態を確認しておくことをおすすめします。
固定式だから「装置を使ってくれない」心配が少ない
取り外し式の装置でよくあるお悩みが、「子どもが装置を着けてくれない」「着けている時間が足りず効果が出なかった」というものです。
急速拡大装置は歯に固定するタイプのため、お子さまが自分で取り外すことができません。お子さまの協力度に左右されにくく、計画どおりに治療を進めやすいのが特徴です。
治療中は、保護者の方に1日1回、装置のネジを巻いていただきます。1回で広がるのは0.2mmほどで、上あごの広がり具合を見ながら少しずつ進めます。広げ終わった後は、骨が固まるまで装置をつけたまま保つ期間を設けます。
治療期間はおおむね10〜18ヶ月が目安です。下あごにはリンガルアーチという装置を併用し、上下のバランスを保ちながら進めていきます。
>>取り外し式の矯正が続かないときの固定式装置について詳しくはこちら
装置の装着が指しゃぶりの卒業のきっかけになることも
急速拡大装置は上あごの内側に装置が入るため、装着中は指を吸ったときの感覚がこれまでと変わります。そのため、装置の装着をきっかけに指しゃぶりをやめられるお子さまもいます。
ただし、装置だけに頼って指しゃぶりを卒業させるのではなく、MFTによる舌のトレーニングや、ご家庭での声かけを並行して行うことが大切です。
装置で上あごを広げても、指しゃぶりや舌の癖が残っていると、再び歯並びに影響が出るおそれがあります。骨格の治療と癖の改善をセットで進めることで、安定した歯並びを目指せます。
上あごが広がることで鼻呼吸や睡眠にもよい変化が期待できる
上あごの骨は、鼻の通り道の底の部分にもあたります。そのため、上あごを横に広げると、鼻の通り道も広がることが期待できます。
鼻の通り道が広がると鼻で呼吸しやすくなり、口呼吸の改善につながることがあります。いびきや、寝ているあいだの呼吸の乱れによい影響が出ることもあります。
睡眠の質が整うことは、日中の集中力や、成長期のお子さまの健やかな発育にもつながると考えられています。
院長は日本睡眠歯科学会の会員として、歯並びだけでなく睡眠や呼吸の観点からも治療についてお伝えしています。呼吸や睡眠への変化には個人差があるため、検査の結果をもとに一人ひとりにご説明しています。
9歳以降・中学生|骨格への対応が難しくなる場合の選択肢
9歳を過ぎると、上あごの骨のつなぎ目が少しずつ固くなり始めます。急速拡大装置を固定する乳歯の奥歯も生え変わりの時期に入るため、通常の方法では上あごを広げにくくなることがあります。
このような場合には、骨に小さなネジを固定し、その力で上あごを広げるインプラントアンカー(骨性アンカレッジ)という方法を検討します。麻酔をしたうえで装着するため、装着時の痛みは抑えられます。
永久歯がほぼ生えそろった後は、マウスピース矯正などで歯の位置を整える治療が中心になります。
「もう9歳を過ぎているから手遅れでは」と心配される方もいらっしゃいますが、年齢に応じた選択肢はあります。早い時期に治療を受けていなかったからといって、選択肢がなくなるわけではありません。
大人になっても指しゃぶりの影響が残っている場合の矯正
子どもの頃の指しゃぶりが原因で、大人になっても出っ歯や前歯のすき間が残っている方もいらっしゃいます。
大人の場合、顎の骨の成長は終わっているため、骨格そのものに働きかけることは難しくなります。そのため、マウスピース矯正などで歯の位置を整える治療が中心になります。
注意したいのは、舌で前歯を押す癖が残っている場合です。癖が残ったまま歯並びを整えても、治療後に前歯のすき間が再び開くなどの後戻りが起こりやすくなります。治療とあわせて、MFTで舌の使い方を整えていくことが大切です。
たむら歯科・こども矯正歯科では、大人のマウスピース矯正にも対応しています。お子さまの相談とあわせて、親御さんご自身の歯並びについてご相談いただくこともできます。
たむら歯科・こども矯正歯科が指しゃぶりと歯並びの相談で大切にしていること

ここまで、指しゃぶりが歯並びに与える影響と、その対応について解説してきました。
指しゃぶりの相談で大切なのは、「指しゃぶりをやめさせる」ことだけで終わらせないことだと考えています。やめた後に舌の癖や口呼吸が残っていないか、上あごの成長にまで影響が及んでいないか。その先まで見届けることが、お子さまの将来の歯並びと健康につながります。
滋賀県高島市のたむら歯科・こども矯正歯科は、こども矯正に力を入れる歯科医院として、癖の卒業から骨格の成長までお子さまを支えることを大切にしています。当院の取り組みについて、次で詳しくご紹介します。
「骨格・癖・機能」の3つから歯並びの原因を見極める
歯並びが乱れる原因は、一つではありません。当院では、原因を大きく3つに分けて考えています。
一つ目は、上あごの成長不足や、歯とあごの大きさのバランスといった骨格や歯の問題です。二つ目は、指しゃぶりや唇を噛むといった癖の問題です。三つ目は、舌の使い方や呼吸の仕方といった機能の問題です。
指しゃぶりのご相談でも、「癖だけの問題なのか」「すでに上あごの幅に影響が出ているのか」「舌の使い方や呼吸にも変化があるのか」を一つずつ確認していきます。
そのために、口腔内スキャナー、セファロ、CTを用いた精密な検査を行います。原因がはっきりすることで、プレオルソとMFTで対応できるのか、骨格からの治療が必要なのかを、根拠をもってご説明できます。
癖の卒業から骨格の成長誘導まで、成長段階に合わせて一貫してサポート
指しゃぶりの影響への対応は、お子さまの成長段階によって変わります。未就学期にはプレオルソとMFTで癖と機能を整え、5〜8歳で上あごが狭い場合は顎顔面矯正で骨格から広げていきます。永久歯が生えそろった後は、必要に応じてマウスピース矯正で細かな歯並びを整えます。
これらの治療を一つの医院で段階的に行えるため、お子さまの成長を長く見守りながら、その時期に合った方法を選ぶことができます。
癖の改善と骨格の治療を切り離さずに進めることで、治療後に歯並びが戻る後戻りの少ない状態を目指しています。
院長の田村は、以前は顎顔面矯正に力を入れる歯科医院で延べ800人を超える顎顔面矯正の患者さまを担当してきました。その経験をもとに、お子さま一人ひとりの成長に合わせた治療計画をご提案しています。
口腔外科での経験と院長自身の経験から「呼吸」まで見据える
院長の田村は、滋賀医科大学の歯科口腔外科学講座に在籍し、あごの外科手術に携わってきました。成長期を過ぎてからあごの骨格を整えるには、入院をともなう手術が必要になる場合もあります。その負担の大きさを知っているからこそ、成長期のうちに負担の少ない方法で整えることを大切にしています。
また、院長自身が口呼吸や鼻づまりに悩んできた経験を持っています。呼吸のしにくさが日常にどれほど影響するかを、当事者として知っています。
指しゃぶりから始まる歯並びの変化は、口呼吸や睡眠の問題とつながっていることがあります。歯並びだけでなく、呼吸や睡眠まで見据えた治療をご提案できるのは、こうした経験があるからです。
0歳から相談でき、怖がりなお子さまも通いやすい環境
「まだ小さいけれど、指しゃぶりのことを相談してもいいのかな」と迷われる方もいらっしゃるかもしれません。当院では、0歳から歯並びのご相談を受け付けています。
院内には動物園や公園をモチーフにしたキッズルームがあり、大きなキリンのオブジェや遊具がお子さまを迎えます。歯科医院が苦手なお子さまには、チェアに座る、ライトを当てる、器具の音を聞くといったステップを一つずつ進める慣らしの時間を設けています。
Web予約や公式LINEからのご相談にも対応しており、駐車場は18台分をご用意しています。高島市だけでなく、滋賀県内の各地域や福井県南部からも多くの方にご来院いただいています。
指しゃぶりと歯並びに関するよくある質問

最後に、指しゃぶりと歯並びについて、親御さんからよくいただくご質問にお答えします。
3歳児健診で指しゃぶりを指摘されました。すぐにやめさせるべきですか
3歳の時点で、無理にやめさせる必要はありません。3歳頃までの指しゃぶりは、気持ちを落ち着かせるための自然な行動と考えられています。
4歳頃を目安に、叱らずに少しずつ減らしていくことを意識しましょう。日中の指しゃぶりから減らし、寝入りの指しゃぶりは最後に卒業するという順番で進めると、お子さまの負担が少なくなります。
すでに前歯のすき間や出っ歯が目立っている場合は、一度歯科医院で状態を確認しておくと安心です。
寝ているときだけの指しゃぶりでも歯並びに影響しますか
寝入りの短い時間だけであれば、歯並びへの影響は小さいことが多いです。
ただし、寝ているあいだずっと指をしゃぶっている場合や、指にタコができるほど強く吸っている場合は、長時間にわたって歯と上あごに力がかかります。この場合は、歯並びへの影響が出る可能性があります。
寝る前に手をつなぐ、絵本を読むなど、指以外で安心できる時間をつくってあげましょう。小学生になっても寝るときの指しゃぶりが続いている場合は、歯科医院にご相談ください。
指しゃぶりによる歯並びの相談は何歳からできますか。費用はかかりますか
当院では、0歳から歯並びのご相談を受け付けています。指しゃぶりの段階から、歯並びへの影響が出ていないかを確認できます。
歯並びのご相談は無料で行っています。精密検査や治療に進む場合の費用は、料金ページでご確認いただけます。
相談の結果、「今は治療の必要がない」と判断されることもあります。その場合も、今後気をつけたい点や、次に歯並びを確認する時期をお伝えしています。
まとめ:指しゃぶりと歯並びの関係を知り、癖と成長の両面から早めに向き合いましょう

指しゃぶりは、3歳頃までは気持ちを落ち着かせるための自然な行動です。無理にやめさせる必要はなく、4歳頃を目安に、叱らずに卒業を促していけば大丈夫です。
一方で、長く続く指しゃぶりは、出っ歯や開咬だけでなく、上あごの横幅や舌の癖、呼吸にまで影響が広がることがあります。やめた後も舌の癖や上あごの狭さが残っていると、歯並びは自然には戻りにくくなります。
「うちの子は様子を見ていてよいのか」と迷ったときは、精密な検査で原因を確認することが、安心への近道です。
たむら歯科・こども矯正歯科では、プレオルソとMFTによる癖の改善から、固定式の急速拡大装置による骨格の成長誘導まで、お子さまの成長段階に合わせてサポートしています。歯並びだけでなく、呼吸や睡眠まで見据えた治療をご提案します。
指しゃぶりや歯並びで気になることがあれば、お子さまが小さいうちからお気軽にご相談ください。
【執筆・監修者】

たむら歯科・こども矯正歯科 院長
田村 光正(歯科医師)
小児矯正・顎顔面矯正を専門とし、関西トップクラスのクリニックで延べ800名を超える顎顔面矯正患者を担当。現在も滋賀医科大学精神医学講座に籍を置き、睡眠と呼吸に関する研究を続けています。「将来の抜歯や手術のリスクを減らす」ことを目標に、原因からアプローチする小児矯正を提供しています。
- 滋賀医科大学精神科 客員
- 睡眠歯科学会会員
- 顎咬合学会会員
- 即時荷重研究会会員
- 口育士
本記事は、たむら歯科・こども矯正歯科 院長・田村光正(歯科医師)が執筆・監修しています。記事の内容は診療ガイドラインや学会発表等をもとに作成していますが、症状や適切な治療方針には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず歯科医院にご相談ください。





